*

3月12日の行動(1) 工場内の確認

公開日: : 最終更新日:2016/03/11 3月12日の行動, 東日本大震災体験談

ほとんど眠ることはできず翌朝(土曜日)になりました。

まず、私が行った行動は、明るくなってきたので、工場内の損壊状態や製品の保管状態を確認し、本社に連絡がつながった際に、ある程度、正確な情報を報告できる状況にすることでした。

本心は家までの裏道も知っている私にとって、直ぐにでも帰路に立ちたかったのですが、頭の中では工場責任者の責務が優先され、家族の
安否については、

避難して無事であればいずれ無事は確認できる!
万一の場合だったとして、私がどう動いても事実(結果)は変わらない!

と覚悟しての行動でした。

実は私が工場責任者になった直後から心配しながらも結論を出せきれていない事項がありました。
それは、製品の保管状態についてです。

今でもそうですが、製品を保管している重量棚はフロアにアンカーボルト等で固定している訳でもなく、パレットに乗っている製品はそのまま、フォークリフト等で重量棚に乗せて保管している状態。

一見すると、重心が高く、不安定感があり、

1)地震で重量棚ごと倒れてしまう可能性があり危険ではないか?アンカーボルトで床に固定すべきではないのか?

2)地震で製品が重量棚から滑り落ちて落下する危険性が高いのではないか?安全ロープ等で落下防止策をする必要があるのではないか?
でも、それをやったら保管・運搬の作業効率が著しく低下してしまう・・・。

結論を出せぬまま、私が工場責任者になって大きな地震を2度経験したことになります。

この経験の事実からは、岩手・宮城内陸地震及び今回の東日本大震災の地震では製品が保管されていた重量棚が倒れたり、重量棚に保管されていた製品が落下することはなかった、です。

さすがに今回の地震では保管されている重量棚のケタから片方が外れ、斜めになっていた製品がありましたが、落下は免れました。

落下を免れた要因として、工場地盤の堅さや揺れ方等の要因もあると思いますが、へたにフロアに重量棚をアンカーボルトで固定した方が、フロアを支点として高い方の揺れが大きく、製品が落下する可能性が増すのではないか?重量棚を固定しない方が、重量棚及び製品が一体化されて揺れるので逆に落下しづらいのではないか?と思いました。

従って今回の経験・事実から、重量棚を固定したり、落下防止ロープを設置等は考えていませんが、かといって、今後の地震でも棚が倒れない、製品が落下しないという保証はありません。

地震の際には棚や高所保管物の付近からは速やかに一次避難し、安全な所で揺れが治まるのを待つことが重要だと思います。

工場内を見回った限り、事務系では書類やファイルが散乱したり、製造現場では小部品が散乱しているところ、建物の壁等にヒビ等が見受けられましたが、大地震のわりには、製品等の保管物や生産施設への被害は比較的少ない!と判断できました。

3月12日の行動(2) レスポンスの早さ につづく

スポンサードリンク

関連記事

no image

私の家族(10) 愛犬チーズ

M氏家族には愛犬 “R” がいて、一緒に避難生活をしていましたが、あまり他人にはなつかないらしい “

記事を読む

さいごに(2) 帰宅許可について

今回、奇跡的に工場社員の犠牲者はいませんでしたが、大震災・大津波警報発令の直後の帰宅許可は、工場責任

記事を読む

no image

家族からのメッセージ(10) お元気ですか?-2

より子お姉ちゃん、膝の調子はどうですか? 無理をしていませんか? 愛犬チーズはおりこうさんにして

記事を読む

no image

3/17~31の活動(2) 対策本部

工場2階の応接室、会議室は対策本部として、煩雑な部屋に変化していきました。 白板を4つ準備し、

記事を読む

no image

3月11日の出来事(2) 帰せコール

「こんな状況で仕事は出来ない」「家族が心配だ」「大津波警報が発令した」等の意見があいつぎ、 “

記事を読む

no image

家族からのメッセージ(8) 一番伝えたいこと

私は、毎年 お母さんの実家へ夏休みと冬休みに5日間ぐらい泊まっていました。 ですが、この東日本

記事を読む

no image

3月16日の行動(1) 製品初出荷!

3/16(水)の朝になりました。 この日は、いろいろな事があり、いろいろな事を行いました。 震災

記事を読む

no image

3月14日の行動(3) 情報基地

千厩(岩手県一関市)での買い物を終え、工場に戻ると、既に、海外工場出向組、気仙沼出身組が2台の車で無

記事を読む

no image

3月12日の行動(2) レスポンスの早さ

確か工場点検後、避難場所の玄関フロアに戻った時だったと思いますが、地元運送業者のD社の専務さんが心配

記事を読む

no image

3月11日の出来事(5) 唯一の情報入手源

もう少し、通信不能の状況についてお付き合いください。 震災後、数日間の唯一の情報入手源はラジオ

記事を読む

スポンサードリンク

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

スポンサードリンク

no image
時間をかけてはいけない罹災証明書

元旦に発生した能登半島地震の被災者のために、震災を体験し、被災者(自宅

no image
時間が解決してくれる(再建)

元旦に発生した能登半島地震の災害ニュースを見る度に、東日本大震災時の状

no image
時間でしか解決しないことがある(避難・仮設住宅)

元旦に発生した能登半島地震の災害ニュースを見る度に心が痛みますが、13

no image
時間でしか解決しないことがある(こころ)

東日本大震災から13年が経とうとしています。 震災から5年後には

日常と節目と語り部

東日本大震災から10年という節目を迎えるにあたり、前回に引き続き、私が

→もっと見る

PAGE TOP ↑