*

生産再開へ(2) 本社出張

公開日: : 最終更新日:2016/03/11 東日本大震災体験談, 生産再開に向けて

今になると、翌日(4/1)、どのようなルートでビジネスホテルから本社まで行ったのか記憶が曖昧ですが、無事に本社につきました。

電動シェーバー派の私はカミソリでのひげ剃りは苦手で、震災以降、その行為を行う気力も立たず、本社には震災以降、ひげを剃らない無精ひげのままで、それも私服での訪問でした。

本社に着いて、とにかく違和感があったのは、 “普段の本社” だったのです。
永年勤続表彰も普通に行っていた様でした。

そうなんだ。宮城工場は大変な状況でも、本社は通常の業務をこなしていかなければならないならないんだな~。
って自分を納得させようとしても、どうもひっかかるんです。

本社に対策本部はないの!?
情報共有すべき “見える化” はやっていないの?
私は異次元から来たお客様?

はじめに、営業部長から、工場に頑張ってもらって予想以上の売上を上げることが出来たよ!って、3月末までの受注・売上データを提示してもらいました。

これまでは、いままでやってきたこと(製品出荷)と、金額が全然結びついていなかったので、資料を見て初めて、当初の売上見通しから、相当な金額が少なかった実態を認識し、申し訳なく、逆にそれでいて、納期遅れ等が生じても、キャンセルになることも少なく、受注残が、その分増え、お客様が、工場が生産再開し製品を出荷するまで待って頂いている状況を知り、悔し涙と感謝の涙を、止めることが出来ませんでした。

社長、常務と打ち合わせを行い、最後に本社全員を対象に毅然とした挨拶を行うつもりが、涙の挨拶になってしまい、その後、Y氏と工場に向かうのでした。

本社に来て良かったんだろうか?

何か不思議な感覚で、更に、その日はポカポカ陽気で熱い位・・・。
厳寒だった大震災から3週間しか立っていない状況で、工場と本社のギャップを感じながら、異次元の世界へ戻っていくのでした。

Y氏には、 『移動中、熟睡するからな~!』 って言ったものの、相変わらず熟睡できず、途中、仙台で “避難用炊飯ジャー” を購入し工場に戻りました。

人の習慣というものは面白いもので、その日、停電復旧は認知していても、工場玄関に入る際、自動ドアを手で開けようとした瞬間に、自動で開いてビックリするのでした。

生産再開へ(3) 電気と水道の復旧 につづく

スポンサードリンク

関連記事

no image

支援物資(4) 食と住

支援物資を何にするか?を考える場合、 “衣食住”に分けられる。 “他の人だけでなく被災者

記事を読む

no image

3/17~31の活動(4) システム対応

大震災以前は、関東の事業所に設置してある、コンピュータシステム(販売管理及び生産管理システム)に、工

記事を読む

no image

3月15日の行動(5) Y氏の体験談

14日の夕方から15日にかけて、本社から災害支援として駆けつけてくれた、Y氏の体験談を紹介します。

記事を読む

no image

私の家族(10) 愛犬チーズ

M氏家族には愛犬 “R” がいて、一緒に避難生活をしていましたが、あまり他人にはなつかないらしい “

記事を読む

no image

3月16日の行動(4) 周知・認識不足

3/16(水)は、公私ともにターニングポイントになった日と前述した様に、非常に慌ただしく、精神的にも

記事を読む

私の家族(震災から7年)

東日本大震災から7年が経過しました。 その経過の中で一番感じることは、残された家族・親族との絆

記事を読む

no image

3月14日の行動(4) 当たり前の生活

千厩(岩手県一関市)の宿の情報基地から、K次長と帰路に着く頃には暗くなり、実家経由にて帰るのですが、

記事を読む

no image

家族からのメッセージ(6) 見守っていてね

3.11 絶対に忘れることのない日です。 私が20年間生きた中でこんな悔しい思いをしたのは初

記事を読む

no image

支援物資(5) 初動判断

これまでは、ボランティア的な支援物資に関して考察してきましたが、工場再開、災害復旧のために必要不可欠

記事を読む

no image

3月12日の行動(4) 予想を遥かに超える津波

あるべき物が何もないんです。 そしてある訳がない物があるんです。 我が家の庭に、小型

記事を読む

スポンサードリンク

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

スポンサードリンク

no image
時間をかけてはいけない罹災証明書

元旦に発生した能登半島地震の被災者のために、震災を体験し、被災者(自宅

no image
時間が解決してくれる(再建)

元旦に発生した能登半島地震の災害ニュースを見る度に、東日本大震災時の状

no image
時間でしか解決しないことがある(避難・仮設住宅)

元旦に発生した能登半島地震の災害ニュースを見る度に心が痛みますが、13

no image
時間でしか解決しないことがある(こころ)

東日本大震災から13年が経とうとしています。 震災から5年後には

日常と節目と語り部

東日本大震災から10年という節目を迎えるにあたり、前回に引き続き、私が

→もっと見る

PAGE TOP ↑