*

住宅再建(5) 災害公営住宅での生活再建

公開日: : 住宅再建, 震災からの復旧・復興

体験談初回はこちらから

5. 災害公営住宅に申し込み賃貸にて生活再建

前回は、住民主導型の防災集団移転促進事業に参加し住宅建設について説明しましたが、行政に支援を受けるにしても、被災者住民が主導となって、組織を形成し、安全な土地を見つけて地主と交渉し移転先を見つけるという、住民の行動があって再建が実現するケースでした。

それに比較し、今回、および次回の、
5. 災害公営住宅に申し込み賃貸にて生活再建
6. 市主導型の防災集団移転事業に参加し住宅建設
は、住民は待ちのスタンスで、行政が主導して災害公営住宅または防災集団移転事業の工事を行い、公募によって被災者の再建を後押しするものです。

当然ながら、これまで説明してきた、被災者の自力再建や被災者が主導しての防災集団集団移転事業の参加状況を把握した上で、高齢世帯などにおいてはそれらの選択は困難であり、行政の支援に依存しなければ再建できない被災世帯も多く存在します。

それらの被災世帯がどの位いるのか?
どの地区に再建を希望するのか?
どのような選択(公営住宅か防災集団移転事業に参加か)を希望するのか?
などをアンケートなどにおいて、世帯数を把握し、希望する地区の土地を探したり取得したりし、計画図を作成して着工することになります。

したがって、自力再建や行動して防災集団移転事業に参加した世帯に比べると、どうしても『待ち』の状態になってしまうので、生活再建のスピードは遅くなってしまう傾向にあるのです。

それでも、災害公営住宅の場合は、住宅の完成まで行政が行い、被災者は完成すれば引っ越しが可能なので、造成が終わり住宅地が完成した段階で引き渡され、それから自ら住宅の建設を始めなければならない市主導型の防災集団移転事業よりは、早く再建できる傾向があります。
しかし、場所や規模、着工時期などによっては、逆転するケースもあります。

さて、災害公営住宅は公営住宅ですから、あくまで賃貸住宅に属します。
低所得者(高齢者夫婦など)で住宅建設が困難であったり、余生や後継者の関係などで住宅建設を諦めなければならない被災者などが選択します。

低所得者の救済を主な目的にしていますから、世帯全体の所得が多い世帯が選択すると、所得によって賃貸料が決まっているので、高所得世帯では、普通の民間賃貸住宅の家賃と変わらない位の賃貸料を払わなければならないことになります。

また、低所得世帯では賃料が安いといっても、震災前は自宅に暮らしていて賃料などはなく、被災後の仮設住宅においても賃料はかからなかったので、公営住宅に入居によって、初めて賃料という追加の支出(経費)が発生する世帯も多いのです。

高齢で年金生活の低所得世帯においては、安いといってもその賃料の支払いが重荷となり、災害公営住宅への入居をも諦め、仮設住宅で一生暮らしたいとの希望も出てくることになるのです。

災害公営住宅の種類としては、地域や世帯数などに応じて、都市型の集合住宅(マンションみたいな住宅)であったり、地方では長屋タイプがあったり、戸建て住宅があったりと、色々な選択ができます。

しかし、傾向をみると市街地の集合住宅が、利便の良さが魅力となり、公募数を上回る申し込みがあり、抽選での決定という後味が悪い決定方法になった住宅もあれば、逆に地方の方では、公募数に申し込み数が満たさず、空き家の恐れが生じ、従来の老朽化した公営住宅に住んでいる住民の移動を考えたりと、なかなか思うようにはいかない事情もあるようです。

【建設中の戸建て公営住宅】

koueizyutaku

スポンサードリンク

関連記事

震災遺構 南三陸町防災対策庁舎(3)

石巻市大川小学校の保存の議論 南三陸町の防災対策庁舎を震災遺構として残すか否かの議論の参考になるの

記事を読む

長引く避難生活における様々な判断(一次避難)

西日本の災害と東日本大震災の共通点 西日本の洪水・土砂災害と東日本大震災(大津波)の共通点として、

記事を読む

no image

防潮堤問題(4) 考えるスパンの違い

あくまで個人的な傾向的な見解として受け止めてもらいたいです。 被災者は行政が提示した防潮堤案を

記事を読む

住宅再建(2) 自力再建の制約1

住宅再建の早い順の選択項目ごとに、制約条件やメリット・デメリットについて考察したいと思います。 1

記事を読む

no image

長引く避難生活における様々な判断(仮設住宅)

住宅再建までの充電期間の仮設住宅学校の体育館など、過酷な公共施設での避難生活から、早期に開放される必

記事を読む

震災遺構 南三陸町防災対策庁舎は県有化に!

震災遺構として保存の是非で町が二分していた問題ですが、2015年6月30日、南三陸町町長が県の県有化

記事を読む

防潮堤問題(2) 危険区域

防潮堤の高さが直結している『まちづくり』の中で、被災地・被災者にとって、直接影響し、判断を迫られたこ

記事を読む

長引く避難生活における様々な判断(住宅再建)

住宅再建のための的確な判断とは 今回の西日本の洪水・土砂災害と東日本大震災において、広範的な被害と

記事を読む

住宅再建(3) 自力再建の制約2

体験談初回はこちらから 3. 被災地内外で危険区域以外の土地を確保し住宅建設 前号では、被災地内

記事を読む

防潮堤問題(3) コンクリート

私たち被災者は、好き好んでコンクリート塀に囲まれるような防潮堤を望んでいるわけではありません。

記事を読む

スポンサードリンク

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

スポンサードリンク

日常と節目と語り部

東日本大震災から10年という節目を迎えるにあたり、前回に引き続き、私が

震災遺構での語り部活動(2)

東日本大震災から10年という節目を迎えるにあたり、前回に引き続き、私が

震災遺構での語り部活動(1)

東日本大震災から10年経過しようとしています。 これまでブログの

景勝地 岩井崎の復旧・復興

やっと観光地の復旧・復興へ   未曾有の災害からの復

私の家族(震災から7年)

東日本大震災から7年が経過しました。 その経過の中で一番感じるこ

→もっと見る

PAGE TOP ↑