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減災の準備 避難先の選択

公開日: : 最終更新日:2015/07/01 減災準備, 防災・減災提言

前回は多くの被災者が体験した、学校の体育館や教室、行政施設の集会場や施設の通路など、普段、生活する様な場所でないところでの過酷な避難生活について触れました。

それ以外の避難先の選択はないの!?
もうちょっと快適な避難生活が出来る選択肢はないの!?

と思う方もいるかも知れませんので避難先の選択について考察してみます。

賃貸アパートでの避難生活

私の場合、運良く知り合いが震災当時にアパートを建設中で、希望すれば優先して確保し入居させてあげる、との打診がありました。

当時、私は工場の責任者で、他にも被災した社員が多数いましたので、被災した社員家族で、そのアパートへの入居を希望すれば譲るつもりで確保してもらいました。

しかし、震災当時に、被災者にはアパート賃料を支払う余裕はなく、被災した社員家族の申し出は確保した世帯数を下回ってしましました。

そこで、私は震災直後から避難先としていた工場から脱出したい思いから、賃料を払ってでもアパートへの入居を決めて申し込んだのです。

その後、そのアパートが仮設住宅扱いに(賃料が無料)!

被災世帯が多すぎ、仮設住宅の建設が追いつかないこと、仮設住宅を建築する(暫定的)予算と、行政(県)が暫定的にアパートを借り上げ、被災者に提供する予算にあまり差異がないことなどから、

『みなし仮設(行政が借り上げたアパートを仮設住宅扱いにする)』

という制度が適用されたのです。

みなし仮設のメリットとデメリットについて触れたいと思います。

メリット
とにかく、仮設住宅と言っても、普段の賃貸住宅での生活に戻る訳ですから、過酷な避難生活からは開放され、普通の生活に近づけます。
従って、私の様に賃料を払ってでも、早期に過酷な避難生活から脱出したいと思う被災者の避難先の選択として一つになると思います。

デメリット
但し、この制度が適用なるかどうかは災害の規模と関係し、『賃料を払ってでも!』という、お金に余裕にある被災者が、空きアパートの確保にすぐに行動に移すので、災害規模に応じ『みなし仮設制度』が適用になった時点で、空きアパートを探しはじめても手遅れの可能性が高いという認識が必要です。
また、公共施設への避難先、その後の仮設住宅という、一般的な被災者の生活再建ステップにおいては、ボランティアやNPO法人などの支援団体の寄付や様々な支援を受けやすいですが、みなし仮設に入った時点で、被災者に対する支援が激減するとの覚悟が必要です。

身内宅などへの避難生活

一番、手っ取り早いのが、被災から免れた、身内(親族・親戚)の家に避難する選択です。
これは事前対策・準備というより、起きてからの選択肢ということになると思います。

私はその選択はしませんでしたが、色々な被災者からの声を聞いた限り、その選択は慎重にすべきと思います。
震災直後の行政の避難場所が設置されるまでの数日ならともかく、長期の避難先としての選択としては話しが別になります。

無事だった身内にしてみれば、身内が家が流され途方にくれているのですから、
『我が家に来て!自分の家の様に使って良いから!』
ってその時はなるのですが、その言葉に甘えると大変なことになったケースをよく聞きました。

身内って言ったて、血のつながっている人もいれば、もともと他人(嫁に来た妻など)もいる訳で、一つ屋根の中で2世帯が長期で避難生活したら、人間関係が悪くなるのは必須です。
頼った身内の家が無事だったとしても、被災地でライフラインが寸断状態で、食料確保や衛生環境が普通でない状況に多世帯生活したら、どうなるかは予想できると思います。

この状態では、生活の違いで、ちょっとしたことで気を使ったり、気になったり、それぞれの家族間の絆が深まるより、逆に、せっかく気遣ってくれた身内との信頼関係を崩壊する可能性が高いようです。

途中で気づいて、崩壊回避のために避難場所に移動しようとしても、その時には、避難場所には避難スペースや役割分担など、組織体制が整っており、その中に入っていくのも一苦労になります。

 

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