*

防潮堤問題(4) 考えるスパンの違い

公開日: : 最終更新日:2015/03/20 防潮堤問題, 震災からの復旧・復興

あくまで個人的な傾向的な見解として受け止めてもらいたいです。

被災者は行政が提示した防潮堤案を容認し、被災しなかった人や第三者は防潮堤案に意義(高すぎるとか)を発している傾向があるように思えます。

大震災から4年が経ちますが、独自再建や、災害公営住宅、防災集団移転事業に申し込み、最終的な生活再建ができたのは、まだ数割しかいません。

相変わらず、多くに被災者が、仮設住宅(みなし仮設含む)や仮住居で我慢し、安心・安全な永住の場所に移ることを、まだか、まだかと、首を長くして待っているのです。

特に、被災者の高齢者にとっては、『なんとか、生きているうちに』になりますから、考えるスパンは更に短くなります。

その願いさえ、叶うことができず、亡くなっていく高齢者も多くいます。

早期の安心・安全な永住の地には、危険区域の設定が関連し、それには、防潮堤の高さが直結しているのですから、将来を見据えてゆっくり議論、なんて心情にはならないのです。

ところが、被災していない人や第三者は、その実情を知っているのかどうか分かりませんが、『将来』を語り、あたかも防潮堤が悪者のように批判し、正義ぶっている姿をみると、被災者には違和感を覚えるのです。

被災者が将来について全然、気にしていないか?というと違います。

箱物公共事業が悪者扱いされていた時期からは逆行している状況からは自然破壊や最近クローズアップされている耐用年数による老朽化などの問題のリスクだってあると思います。
今になって真っ向に分かれている諫早湾干拓事業の結末のようにならない保証だってありません。

スパンが異なったままで議論だけするのではなく、被災者の事情をも勘案し、迅速で安全・安心な生活再建を推進する前提にて、将来、負の遺産にならないように知恵を絞っていく、すり合わせが必要なんだと思います。

話しは変わりますが、若者の中には、被災して家族や住宅を失っていても、行政が提示した防潮堤案に疑問を生じている人達がいます。

頭の回転や、考え方、考えるスパンが違うのですね!
歳を重ねるごとに、目先のこと、自分のことしか考えなくなる傾向の中で、若者は辛い経験をしても、次世代の地元のことなど、本気になって考えているんですね!

ところが、ある地区の防潮堤計画の協議の場において、そのような若者が防潮堤計画に疑問の発言を行ったら、ベテランの計画推進派から横ヤリが入り、一蹴されたとのニュースがありました。

私は防潮堤計画案に基本的には賛成派ですが、若者の発言に対し、計画推進派の一蹴するやり方は如何なものか!
と思います。

先が見えている中高年が、第三者や被災していない人たち含めて、喧々諤々しても良いと思いますが、これから未来を背負っていく若者の意見については、慎重に、尊重して取り扱うことが、『大人』だと思うのです。

地元から離れている若者が多い中、地元を良くしようと本気で思って、残っている若者は、その地元にとっては『宝物』です。

中高年の『大人』の発言、行動が、これからの被災地の復興に欠かせない若者たちを失うことにならないことを祈るばかりです。

考えるスパンの違いは、震災遺構の保存の問題に関しても言えることだと思います。

スポンサードリンク

関連記事

住宅再建(4) 防災集団移転促進事業(住民主導型)

体験談初回はこちらから 4. 住民主導型の防災集団移転促進事業に参加し住宅建設 本号からは、行政

記事を読む

防潮堤問題(1) 防潮堤の高さ

東日本大震災の復興事業において、議論、話題になっているのが防潮堤の高さの問題です。 安倍総理大

記事を読む

震災遺構 気仙沼市のケース

気仙沼市の震災遺構としては、私の目の前に存在している被災した旧気仙沼向洋高校の校舎にすんなり決まりそ

記事を読む

景勝地 岩井崎の復旧・復興

やっと観光地の復旧・復興へ   未曾有の災害からの復旧・復興には、優先順位が立てら

記事を読む

no image

長引く避難生活における様々な判断(仮設住宅)

住宅再建までの充電期間の仮設住宅学校の体育館など、過酷な公共施設での避難生活から、早期に開放される必

記事を読む

住宅再建(1) 震災から5年経過しても

東日本大震災から5年経過しても・・・ 東日本大震災から5年になります。 多分、被災地以外の方

記事を読む

長引く避難生活における様々な判断(一次避難)

西日本の災害と東日本大震災の共通点 西日本の洪水・土砂災害と東日本大震災(大津波)の共通点として、

記事を読む

震災遺構 南三陸町防災対策庁舎(1)

『6mの津浪がきます。避難してください!』 南三陸町の職員で危機管理課に所属し、防災放送担当だ

記事を読む

住宅再建(5) 災害公営住宅での生活再建

体験談初回はこちらから 5. 災害公営住宅に申し込み賃貸にて生活再建 前回は、住民主導型の防災集

記事を読む

震災遺構 南三陸町防災対策庁舎(4)

南三陸町の防災対策庁舎の保存問題。 これまでの経緯と、力関係と、民主主義の進め方(多数決など)を考

記事を読む

スポンサードリンク

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

スポンサードリンク

no image
時間をかけてはいけない罹災証明書

元旦に発生した能登半島地震の被災者のために、震災を体験し、被災者(自宅

no image
時間が解決してくれる(再建)

元旦に発生した能登半島地震の災害ニュースを見る度に、東日本大震災時の状

no image
時間でしか解決しないことがある(避難・仮設住宅)

元旦に発生した能登半島地震の災害ニュースを見る度に心が痛みますが、13

no image
時間でしか解決しないことがある(こころ)

東日本大震災から13年が経とうとしています。 震災から5年後には

日常と節目と語り部

東日本大震災から10年という節目を迎えるにあたり、前回に引き続き、私が

→もっと見る

PAGE TOP ↑