日常と節目と語り部
公開日:
:
最終更新日:2021/03/06
震災伝承
東日本大震災から10年という節目を迎えるにあたり、前回に引き続き、私が家を流出した被災者、家族を亡くした遺族の立場で、震災伝承と節目についてご紹介します。
今回は日常と節目と語り部活動についてです。
語り部活動は日常生活
私の語り部活動は日常生活の一環として行っています。
喜楽な第二の人生、小さなコテージの宿泊業や漁師を営んでおり、閑散期、繁忙期が激しい事情ですが、1日のタイムスケジュールで考えると、午後は比較的に余裕があり、時間が空いてる日時に語り部の打診があれば、日常の生活の中で語り部活動を行っている感じです。
夏休みの期間はコテージの繁忙期となり、語り部活動はあまり出来ないのですが、震災遺構・伝承館も家族などの個人客は多い一方で、語り部を申し込む可能性が高い団体客が少なく、語り部の打診自体が少ないのでバランスが取れています(笑)。
普段、一人で暮らし仕事をしている状態なので、語り部することは、伝承館のスタッフやお客様と話を交わす機会となっているので、気分転換にもなっています。
命日(3.11)の節目は・・・
3月11日 東日本大震災が発生し大切な家族を失った日・・・。
遺族にとって3.11を迎えることは、多くの遺族がそうだと思いますが、私は気持ちが落ち込んでいきます。
残された家族と一緒に迎えられれば違うかも知れませんが、子供たちは独立・就職して家を離れており、そうなると、とにかく誰にも会いたくなく、静かに迎えて過ごしたくなるんですね~。
しかし、世の中は、節目として、過去に振り返り、思い出す。
あれから〇年、どのように変化(復旧・復興、被災者や遺族のその後など)したかを知りたい。
そうなると、当然ながらマスメディアが動き出し、色々な取材を行って視聴者に情報を提供する。
私などは、家族3人と愛犬を津波で失った遺族として、自宅を流出した被災者として、にも関わらず語り部の震災伝承者として、取材のターゲットとしてはもってこいの存在の様です(苦笑)。
でも、気持ちとしては、
節目を迎えての取材は勘弁してくれ!
なのです。
震災伝承の節目として
節目(3月11日)を迎えてのマスメディアの取材は受けたくないのですが、実は、2019年と2020年は取材を受けてしまいました。
2019年は3月10日、震災から8年という節目に、気仙沼市東日本大震災震災遺構・伝承館のオープンでした。
気仙沼市の震災伝承の施設としてスタート、私が語り部をスタートする節目だったのです。
震災伝承の特集ということで、取材の申込みがあったのですが、勘弁してくれ、って最初はお断りしたのですが、語り部リーダーから『やったら!?』と推され、
気仙沼市東日本大震災震災遺構・伝承館のオープンにあたり、行ってみたい、聞いてみたいという方が増えて、震災伝承に少しでも貢献できたら!
という思いが勝り、渋々受け入れた感じでした。
事前の取材もあったのですが、3月10日はNHKの生放送で、隣にはAKB48の柏木由紀さん、東京のスタジオにはサンドイッチマンさんが待機していて応答したのですが緊張しすぎてほとんど覚えていません。
柏木由紀さんに握手求めるんだったな~(笑)。
2020年も同じような感覚で取材を受け入れました。
普段見ている番組、NHKのニュースウォッチ9の取材で、桑子アナウンサーが伝承館を訪れ、一緒に震災遺構を見学、語りながらの事前収録を行い、3月11日の放映でした。
桑子アナはこのご時世なのでマスクしていましたが、美人で特に目が印象的でしたね~。
震災10年の節目は静かに・・・
2021年3月11日は震災から10年という大節目になります。
すでに、震災特番の放映が増えるにつれて、気持ちの落ち込みが始まってきましたが、対外的には日常生活と変わらないように見せています。
今年の節目のマスメディアからの取材は受け付けしないことにしました。
この節目は当然ながら視聴者が注目し知りたい時期からマスメディアの取材が多くなる中、被災者・遺族の中には、この機会にと多くの情報を発信することに注力できる方もいますが、私は逆です。
静かに目立たないように過ごしたい、というか日常生活の中で過ごしたいのです。
これまで、伝承館経由で取材の打診が多かったので、今年は事前に、
『今年は勘弁して、私に回さないで』
ってお願いしました。
直接の打診もありましたが、丁寧にお断りさせて頂きました。
これからも、日常生活の中での震災伝承(語り部)を継続していきたいと思っています。
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